Dex FernandezのNew Yorkでの個展「310E44R822」について
Project A&Y のショップでもお馴染みのGarapata(ガラパタ)の
デックス・フェルナンデスの個展がNYで開かれました!!
作品一覧はOwenJamesギャラリーのホームページにて確認できます。
私もこの作品のなかのモデルになっているのですが。
そしてその時に取材された記事がハフィントンポストに掲載されました。
記事を日本語訳してみましたので、お楽しみください。
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アジアン・カルチュラル・カウンシル(Asian Cultural Council)のサポートを受けて2015年5月にマサチューセッツのファイン・アーツ・ワークセンター(Fine Arts Work Center)、そして現在ニューヨークに滞在中のマニラ出身のフィリピン人アーティストDex Fernandezへのインタビュー。インタビュアーはSara Zielinski。
Sara) あなたの作品には、喜怒哀楽の感情など個人的な経験やアート、文化など色んなものが混在していますが、それらが完全に同居しているようにも見えます。なぜ作品の中にそう言った二重性を持たせたり様々なものを混在させるのですか?
Dex) 混在しているものは「善と悪」のように対比となるような存在で、僕はそういった相反している存在をごちゃ混ぜにする事が好きなんだ。そうする事で新しい物語が生まれるでしょう?これは僕の哲学みたいなものなんだけど、ありとあらゆるものを一枚のキャンバスに落とし込む。そうやってミックスする事で何か新しい物をつくりだしています。
Sara) コラージュや壁画、版画にアニメーション、ペインティングから写真までと幅広い表現方法を用いて作品制作をしていますが、次はどんな手法に興味がありますか?
Dex) 今は僕の表現をファッションに取り込みたいと思っていて、今でもたまにグッズ商品を作っているけど、そういう複製して作れるようなものではなく「歩くキャンバス」のような作品を作りたいんだ。
Sara) つまり、他の作品のように、世界に一つだけの作品ということですか?
Dex) そういう事になるね。将来的にはmoving artを作りたいとおもっていて、それは映像を映し出したりすることで実現可能だと思うんだ。最近ではプロジェクションマッピングはそこら中で見られるけど、僕は映像を歩いているモデルに映し出したりしたいなと思ってる。
Sara) アーティストとしてのキャリアの始まりについて教えてください。また、ストリートアートとはあなたにとってどんなものですか?
Dex) 僕は初めからストリートアーティストだったわけではなく、ギャラリーで展示するようなアーティストでした。それからストリートに行って、今こうしてまたギャラリーに戻ってきている。でも今は、その「ストリート」と「ギャラリー」という二者を繋げて、協働できるようにしたいと思ってる。
ストリートアートは、ギャラリーや美術館に行くのをためらうような人たちにも開かれていて、生活空間にあるアートを気軽に体験できる。僕にとってのストリートアートを簡単に説明するとそんな感じかな。
僕がストリートで展開しているGarapata(ガラパタというダニの一種)のスタイルは、僕の幼少の頃の個人的な体験から来ているのです。僕が小さい時、兄弟と一緒に、飼ってた三匹の犬についているダニを集めるっていう遊びを毎日していたんだけど、ある時、カーテンとか、テーブルとか、とにかく家中の至る所に大量のダニが発見されるようになって、もうそれは本当映画『マーズ・アタック』って感じのことが起きて...。
結局それがきっかけでその時飼ってた犬たちを手放しちゃったんだけど、その後こうしてアーティストになって、ストリートアートにも興味を持ち始めたときに、この『マーズ・アタック』ばりの「ダニの大量発生」の話は使えるなって思ってました。
ダニが家の中で拡がっていったイメージが元ネタで、今は僕のストリートアート(ガラパタ)が町中に拡がっていくイメージなんだ。
Sara) そしていまガラパタは世界中で見られるようになりましたよね。
Dex) そうだね。そう考えると、犬に限らず人間だってダニを持ってるんだよ。というのも、僕はガラパタ(ダニ)のステッカーを皆んなにあげて、皆んながそれをどっかに貼ったりすると、ガラパタはそこで生きて行くでしょう?
それに僕はFacebookやInstagramなどのSNSを使ってガラパタ関連の投稿をしてるんだけど、奴らはそういうソーシャルメディアに寄生してるとも言える。それに関して、不快に思ったり、面白いって思ったり、そういった様々な感情が生まれるし色んな人がいるんだよ。
今では僕のダニ(ガラパタ)がバスや電車内など、町中で見られるようになったんだけど、それがニューヨークやマニラ、日本、それから僕が行ったことのあるところ(台北、パリなど)全世界規模になってるんだよ。というのも、僕は必ずガラパタステッカーを持ち歩いて僕のダニたちを広められるようにしてるからね。
Sara) 広告に携わっていた経験は今の作品制作にどのように活きていますか。
Dex) 特にグラフィックやイラスト、写真に活きていて、特に写真は広告にとって基本的な素材のひとつだと言えるね。
Sara) 田舎町と比べてニューヨークはどうですか?
Dex) ニューヨークではもっと自分らしく生きられてると思う。田舎って限られているし、保守的な人も多いですよね?でもニューヨークはもっとみんながオープンだと感じる。でも田舎町もいつも保守的ってわけではなくて、大都会と違う形で開かれてもいる。
都市はよりダイナミックだと思うし、僕が個人的に探してる生活はそこにあると思うんだ。というのも、僕の作品というのはごちゃごちゃしていて複雑でしょ?都市そのものみたいなものなんだよね。エネルギーに満ちていて、色んなことが起こっている。その僕の作品とのシンンプルな類似点が僕を都市に引きつけるんだよね。
Sara) ニューヨークとマニラの生活を比べてどう思いますか?
Dex) ニューヨークの生活の方が好きだね。マニラもオープンな都市だとは思うけど、フィリピンがカトリック教国なだけに、どうしても保守的な部分が残ってしまう。そういう宗教に関した繊細な問題に関しては偏見が多いのも事実だし、ニューヨークはそこに関してもオープンで、この都市は入り込めば入り込むほど邪悪なところもある。
Sara) 最後に、Owen James Galleryでの展覧会「310E44R822」のタイトルについて教えてもらえますか?
Dex) これはそのまんま僕のニューヨークでの住所"New York: 310 East 44 Street, Room 822"から来ているんだ。展覧会の内容が、僕のニューヨークでの経験、ここで学んだ事なんだけど、だから、この住所こそ毎日僕が帰ってくるところで、この展覧会に向けて作品を作ったところであり、こうやって話している事を考えたところで、そういう意味を込めてこの住所を展覧会のタイトルにしたんだ。
-Y